「宇宙究極の謎」

今日の我が家本紹介はこれです。

「宇宙究極の謎」 立花隆コーディネート、クバプロ刊

宇宙開闢・初期の様子から始まり、最初の星(First Star)、さらにはダークマターやダークエネルギーまで、まだまだ分かっていないことをその筋の研究者が解説するという構成の本です。宇宙物理系のトップレベル研究者が並んでいて、壮観ですなぁ。

この書籍の出たのが12年前。でもそれから今まで、大きな進展のあった分野はあんまり無いんですよね…この12年のでかいニュースと言えば
「重力波の発見」
「ブラックホールの直接撮像」
くらいしかありませんし、多少精度が上がったり、遠方の天体が見えるようになったところで、クリティカルではないんですよね…
あーそう言えば、ハッブル定数の値が再び揺らぎ始めたかなぁ。この本が出た頃は78くらいでみんなが合意してたんだけど、80越えの数字も出て来たしね。できればもっと小さい値が出て欲しい気もするんだけど。

「拡がる宇宙地図」

今日の我が家本紹介はこれです。

「拡がる宇宙地図」 矢野太平著、技術評論社刊

もう表紙に書いていることで全部です(笑)。特に内容について書くことがなくなってしまいました。

著者は昨日の郷田氏と同じくVERA関係の研究者です。こちらも知り合い。どういう知り合いかというと、大学院時代のの後輩であり、後で知ったことですが、高校の同級生。クラスは違うので、直接の面識はなかったんですけどね。学年全体の同窓会で
「こんな本書いたんですよ」
というのを教えてもらい、購入しました。キチンと歴史を追いかけることは重要なので、こういうのはありがたい。

そういえばこれを書いていて思いだしたのですが、研究の歴史みたいなものを大きく捉える試みは、この本を含めて数多くあります。一方、ある事柄について細かい歴史を追いかけたものってないんですよね。Wikipediaもどんどん追記されたり削除されたりするため、
「この時代はこう考えられていた」
というのが残りにくいのです。ところが、そういう思考の歴史って結構重要で、いきなりパラダイムシフトが起こるわけではなく、少しずつ変化してきたものが、ある時どうしようもない矛盾を解消するために大きく変化し、それがパラダイムシフトになるわけです。
パラダイムシフトは本に残りやすいし、教科書にも載るのですが、少しずつの変化は残らない。でもそういうのが結構重要だったりします。なにか、そういうのを残していく活動をしたいものです。

「天の川銀河の地図をえがく」

今日の我が家本紹介はこれです。

「天の川銀河の地図をえがく」 郷田直輝著、旬報社刊

購入したんだったか、いただいたんだったかはちょっと分からないのですが、VERA計画についての話をまとめた本です。

天文衛星ヒッパルコスが恒星の位置データを精度良く決めたあたりから、銀河系内の地図作りが本格化しました。それまでは年周視差でしか測れない恒星は、遠方になればなるほど精度が悪くなっていたのですが、引っ張る腰がそれを覆したわけです。

ちなみにヒッパルコスのデータはプラネタリウムのメガスターにも利用されています。
それはさておき…

とにかく変光星ではない普通の恒星までの距離を求めるには、原則として年周視差しかありません。これが星団であればHR図を使う方法など、幾つか手があるのですが、単独星だとこの方法一択。その精度をどうやって上げていくのかなど、VERA計画ではいろいろと試されたわけですよ。その辺を知りたい方は是非。

そうそう、著者の郷田氏は、私が大阪大学の大学院生だったとき、つまり池内氏に指導教官をお願いしていた際に、助教授だった人です。

「宇宙の大構造と銀河」

今日の我が家本紹介はこれです。

「宇宙の大構造と銀河」 池内了著、丸善株式会社刊

重力レンズを研究テーマにした後に指導教官をしていただいたのが池内氏です。大変ありがたかったです。

ちなみに昨日の本の続きにコレを持ってきたのには理由があります。実はもともと、これをやりたかったのですよ。私が大学生の時というのは、宇宙の大規模構造(泡構造)が発見されて、どんどん新たな発見があった時代でして、
「ダークマター」
という怪しげな言葉とともに、この構造がどの様にしてできたのかを解き明かしてみたいという気持ちがあったのです。
これはその頃に出た本で、この内容が私の気持ちに火を付けたのでした。なので、大学時代の指導教官だった福江氏から研究テーマを訊かれたときに
「宇宙の大規模構造をやりたいです」
と答えました。残念ながら、別の同級生がやると決まっていると言われてしまい、仕方なく2週間くらいかけて別のテーマを探したのが
「重力レンズ」
だったわけです。まぁ、とは言いながら福江氏は重力レンズにはあまり詳しくなく、卒業論文は
「降着円盤周辺での光線の曲がり」
に関するモノになってしまいました。

で、大学院に入ってから独学で学び、時には京都大学の方が書いたテキストの式が間違ってるんじゃないかとか、そういう手紙(メールがなかったので)も書き、博士課程は池内氏の研究室に移ったのです。

この本を読んでなかったら、今の私にはたどり着かなかったのかも知れません。

「重力レンズでさぐる宇宙」

今日の我が家本紹介はこれです。

「重力レンズでさぐる宇宙」 福江純、山田竜也著、岩波書店刊

こっちは昨日のとは違って、黒歴史じゃないほうの本。人生初の商業出版物ですよ。
それまで大阪市立科学館の会誌である「うちゅう」に寄稿していた原稿を基に、それを10倍以上にふくらませて書きました。その後、(元)指導教官だった福江氏が書き足し、さらにそれを私が修正するという形で完成した本です。

もともとは福江氏の所に「降着円盤に関する本」の話がやって来て、
「違うものが書きたい。教え子に重力レンズやってるのがいるから、共著でも良い?」
というところからスタートした本です。
1996年の5月くらい?に話が来て、1997年2月に出版。うん、普通の本はこれくらいのペースだよね。いや、これでも1年かかってないから速かったらしいけど。

というわけで、私のメイン研究分野の本です。当時、日本語で書かれた重力レンズのみを扱った本としては唯一のものでした。今でこそ海外著者のものを翻訳した本が1冊…いや、もう1冊あったかな…は出てますが、初期の研究を紹介しているものはないんじゃないかな。

そうだなぁ…最近の知見を加えて再構成したいなぁ…重力レンズ関連では
「ダークマターの分布予測」
「ブラックホールの撮影」
という大きな成果もありましたしね。

「星と宇宙を知りつくす本」

今日の我が家本紹介はこれです。

「星と宇宙を知りつくす本」 小野夏子、和紗泰信著、インデックス・コミュニケーションズ刊

いや、自分の本を紹介してなかったなぁ…と思いまして。ペンネームで書いていた本です。
ただなぁ…スケジュールがぐちゃぐちゃだったので、間違いが訂正されないまま出版されたという、大変よろしくない本なのです。なので、お薦めはしない。

元々は5月に話が来て、6月後半あたりから二人で書き始め、7月下旬に脱稿。これだけでもすごいペースなのですが、そこからゲラ(イラストや写真もまだ入ってないもの)がやって来て、修正を数日で返したら、

「すみません、会社の意向でもう印刷所に回してまして…」

という衝撃の返事がっ!?いやいやいや、誤植もあるし、訂正箇所もあるし、そもそもどんな絵や写真がはまるのかも確認してませんけど?!

ええ、出版されたものが送られてきた後、間違いカ所に赤入れをしまくりましたとも。そして写真も間違っている箇所が…いや、これ違う天体だから。なんでこんな不完全なものを急いで出しちゃったかなぁ…黒歴史レベルですよ、これ。

再チャレンジしたいわぁ。

「月の本」

今日の我が家本紹介はこれです。

「月の本」 林完二写真、光琳社出版刊

月に関する一般的な話題を仕入れるのに良い本です。神話や宇宙開発の話、あとは月に関する天文学の入門的な部分ですかね。ディープでマニアックな話を求めていたり、最先端の天文学・宇宙科学を学ぶには向いていません。

綺麗な写真も多いですし、楽しみながら月の話を知りたい方向け。そういう意味では初心者向けで、入門書として最適かも。

ただし、もう絶版になっているのかと思いきや、出版社が変わってKADOKAWAから出ているようです。古本でも良ければ光琳社出版版を、新しいのが欲しければKADOKAWA版を探してください。

「アポロ13号 奇跡の生還」

今日の我が家本紹介はこれです。

「アポロ13号 奇跡の生還」 ヘンリー・クーパーJr.著、立花隆訳、新潮社刊

映画の「アポロ13」が良い出来でしたので、ざっくりと知りたければあれを観るのをお薦めします。あの映画は打ち上げの前から始まっていましたし、事実、CGで再現された打ち上げシーンは、当時のメンバーにすら
「どこにこんなフィルムが残ってたんだ?」
と言わしめるほどの出来でした。

が、この書籍は打ち上げは終わり、トラブルが発生する直前から始まります。その後、時系列に沿って、誰が、どのタイミングで、どの様な活動を行ったのかなど、詳細に書いていっています。
まぁ、さすがに何時何分何秒というところまでは書かれていないのですが、それでも何が、どういう順番で起こったのかは、しっかりと分かるようになっています。

日本の宇宙開発でも、このレベルでしっかりと書かれた書籍をもっと用意する必要があるのかも知れません。特に大きなトラブルに見舞われた打ち上げや衛星に関しては。