今日の我が家本紹介はこれです。
「ふだん使いの言語学」 川添愛著、新潮社刊
まずはふだん使っている言葉が、そのままだと如何にあいまいで間違えを誘発しやすいかという話が出ています。特に対面や電話などでの会話であれば、相手の表情や声の調子などのノンバーバルコミュニケーション的な要素によって、相手の意図を補完して理解することができます。
しかしこれがバーバルコミュニケーションのみ、しかもテキストのみとなると誤解を生じる要素が数多くあり、言葉を慎重に使わないといけないことがよく分かります。
例文として挙げられているものに
「あなたのせいで負けたんじゃない」
がありました。これは
「あなたのせいで負けたわけではない」
という否定の意味と
「あなたのせいで負けたんでしょ」
という事実確認の意味とがあります。しかしこれは音声で聞けばまだどちらの意味なのかはわかりやすいですが、テキストのみだとどちらの意味にも取れてしまいます。いらぬ誤解を招きそうです。
この本ではこのような事例を始め、さまざまな日本語を利用する際の様子を紹介してくれていますので、言葉の使い方を意識するのに良い教科書になるでしょう。
「言語学講義」
今日の我が家本紹介はこれです。
「言語学講義」 加藤重広著、筑摩書房刊
言語学の現在と、その問題点などを紹介しているものです。特に最終章では「
社会言語学から複雑系言語学へ」
ということで、ソシュールの言語学の位置付けをキチンとすることで、その先に進もうとする方向性についての議論をしてくれているのがうれしいです。
また第1章では
「AI時代の言語学」
という節も設けられていますので、そういう観点でも新しい話題が提供されているのが良いですね。
「日本語の「常識」を問う」
今日の我が家本紹介はこれです。
「日本語の「常識」を問う」 鈴木貞美著、平凡社刊
日本の歴史を古代から辿りながら、日本語というものの変遷を語り、その特徴だと言われているものがどの様にして現れてきたのかなどを解説しています。中国語との関係や、西欧言語との比較なども行われているので、結構面白い。
そして高校で学ぶ漢文は「現代においては国語ではない」としながらも、日本の長い歴史の中では公文書に使われてきたこともあり、その当時には「国語と呼んでも差し支えない」ものだったともしています。うん、そういう意味ではそうだね。
ちなみに今でこそ日本では「日本語」のみが公用語(=国語)となっていますが、同化政策がとられる前はそうじゃなかった。そして公用語を4つも持っているスイスや、公用語以外に準公用語や、地方公用語を持つインドなど、様々なケースを紹介してくれているのも良いですね。
「通じない日本語」
今日の我が家本紹介はこれです。
「通じない日本語」 窪薗晴夫著、平凡社刊
略語や時代によって現れる言葉、そして意味や読み方が変わっていっている言葉などによって、世代間で通じない言葉が出ている様子が示されています。紹介されている中には「ナウい」などの死語も含まれていますので、そこはどうなんだろう?と疑問にも思うものもあるのですけどね。
それでも「デジカメの エサはなんだと 孫に聞き」のように、そういう種類の「亀」だと勘違いしたというネタや、「ヤバイ」の例なども紹介されています。
まぁ、言葉なんて時代によってどんどん変わっていくので、100年もしないうちに意味の通じないものは大量に出てくるんだろうと思いますけどね。
「言語の社会心理学」
今日の我が家本紹介はこれです。
「言語の社会心理学」 岡本真一郎著、中央公論社刊
大学で教えている内容の一部は、ここから取っています。今日からしばらくは、また言語学系の本を紹介します。
この本は7つの章でできています。
1・「文字どおり」には伝わらない
2・しゃべっていないのになぜ伝わるのか
3・相手に気を配る4・自分に気を配る
5・対人関係の裏側 攻撃、皮肉
6・伝えたいことは伝わるのか
終・伝えたいことを伝えるには?
1、2、6章を参考にしています。特に6章は誤解をはじめ、意図が伝わらないシチュエーションを具体的に示しながら理由を説明しています。
「まぁ、そうだろうな」
と思える内容も多いため、使い勝手の良い本だったりします。
「ヒトの言葉 機械の言葉」
今日の我が家本紹介はこれです。
「ヒトの言葉 機械の言葉」 川添愛著、KADOKAWA刊
前半は人工知能における機械学習の例を紹介しています。正直、人工知能関係の本を読んだことのある人であれば
「どこかで読んだことのある話だなぁ」
で済む内容です。
後半は一転して人間の言葉。言語とはどういう物なのか、言葉と脳内のイメージの関係など、人が使う言葉がどの様にして伝わり、解釈されるのかを解説しています。
いや、実は大学の講義や中小企業向けの研修でこういう話をやろうと思っていましたので、ちょうど良いテキストを発見した感じです。もう少し細かく読み込んでから、いろんなところに紹介しようと思います。
「チョムスキーと言語脳科学」
今日の我が家本紹介はこれです。
「チョムスキーと言語脳科学」 酒井邦嘉著、集英社刊
木構造を提唱したチョムスキーですが、その重要な理論である「統辞構造論」の解説を行っています。前に紹介したエヴェレットの「ピダハン語」の論文における問題点を提起していたりと、ガッツリ読むと大変面白い内容です。
チョムスキーは言語学を科学にしたかったと書かれていますが、そこは私も科学系の人間ですので、話の流れは大変面白いです。もうちょっとガッツリと学習してみようと思います。
さて、その後は本格的にLINCOSをやろう。そして今、大学で教えている内容を盛り込んで、いろいろとアップデートし、面白い学習コンテンツに仕立て上げましょうかね。
「「文」とは何か」
今日の我が家本紹介はこれです。
「『文』とは何か」 橋本陽介著、光文社刊
日本語文法をガチで考えましょうね、という本です。国語文法的な教え方ではなく、キチンと名詞に格助詞をつけて文節を構築し、その集合で文が成り立っているという構成を理解することが重要です。
また認知の話や、「サピア=ウォーフの仮説」なども取り上げられていますので、単に文法を学ぼうという内容に留まらず、言語学にまてしっかり足を踏み込んでいます。

