「ふだん使いの言語学」

今日の我が家本紹介はこれです。

「ふだん使いの言語学」 川添愛著、新潮社刊

まずはふだん使っている言葉が、そのままだと如何にあいまいで間違えを誘発しやすいかという話が出ています。特に対面や電話などでの会話であれば、相手の表情や声の調子などのノンバーバルコミュニケーション的な要素によって、相手の意図を補完して理解することができます。

しかしこれがバーバルコミュニケーションのみ、しかもテキストのみとなると誤解を生じる要素が数多くあり、言葉を慎重に使わないといけないことがよく分かります。
例文として挙げられているものに
「あなたのせいで負けたんじゃない」
がありました。これは
「あなたのせいで負けたわけではない」
という否定の意味と
「あなたのせいで負けたんでしょ」
という事実確認の意味とがあります。しかしこれは音声で聞けばまだどちらの意味なのかはわかりやすいですが、テキストのみだとどちらの意味にも取れてしまいます。いらぬ誤解を招きそうです。

この本ではこのような事例を始め、さまざまな日本語を利用する際の様子を紹介してくれていますので、言葉の使い方を意識するのに良い教科書になるでしょう。