「日本沈没」

今日の我が家本紹介はこれです。

「日本沈没」 小松左京著、小学館刊

この小説は
「もし日本が祖国の地を失ったとしたら、世界の中でどの様に生きていかなければならないのだろうか」
という思考実験を行うために
「沈没させてしまおう」
と考えて書いたのだそうです。ですので、この上下巻の最後には
「第1部完」
と書かれていました。そう、沈没するところまでで終わっているこの作品は、それはそれでものすごく面白い小説だったのですが、本当に描きたかった内容のプロローグでしかなかったわけです。

最初に映画化された「日本沈没」はそこをしっかりと描くことで、圧倒的な世界観を示しました。地割れののみ込まれる人々、大震災の後に起こった火事に巻き込まれて全身火だるまになった人々を映像に取り込んでいました。

それが2000年代のリメイク映画では、日本は沈まないし、人死にのシーンは描かないし、
「お前、この作品の訴えたかったことを何もわかってないだろう」
と言わざるを得ない、どうしようもない作品になっていました。
そういや、当時、Yahoo!のレビューで、5段階で1を付けました。0を付けられなかったので、止むなしに1を付けたのですが、同じ感想を持っていた人が多かったのをかなり目にしました。

ちなみに、第2部もちゃんと出ましたが、それはまた後日。