「ウルトラセブン研究読本」

今日の我が家本紹介はこれです。

「ウルトラセブン研究読本」 洋泉社刊

好きなんですよ、ウルトラセブン。例えば「狙われた街」。タバコに幻覚剤を仕込んで、暴れさせる。そうやって人間同士の信頼関係を壊せば、侵略しやすくなるというメトロン聖人。セブンとちゃぶ台を挟んでの対話は、特撮史に残るシュールな画面ですよね。
でも、最後のナレーション。
「でもこれははるか未来の話。お互いを信頼している、今の私たちには関係ない話ですよね」
というのがグサッときます。
そして「ノンマルトの使者」。地球人は原住民だったノンマルトを追い出した侵略者だったというストーリーは、えげつないモノがありました。それこそ、昨日紹介したザンボット3のような。
ちなみにこの頃の円谷プロは「怪奇大作戦」も制作しているのですが、こちらも乱開発や公害問題など、さまざまな社会問題を扱っています。

話をもとに戻しますと、このノンマルトの話は、平成セブン3部作の2部目の最終回につながります。この第2部は、
「何故人間は嘘をつくのか」
など、哲学的な内容が多かったのですが、最終回で
「地球を表す言葉はノンマルトだろう? セブン、お前は侵略者を許さなかったはずだ。ならば、我等ノンマルトにこそ味方するべきではないのか」
と、セブンに問いかけます。この問いかけに苦悩する姿は、
「あー、地球人って本当に何とかしないとダメだなぁ」
と思わせてくれます。

正直、「人間とはどういう存在なのか。どうあるべきなのか」を問いかけてくれる、非常に良い作品です。子ども向けとは到底思えないくらい。