「人造人間キカイダー」

「7日間ブックカバーチャレンジ」

昨日はSFと科学についての本を紹介しました。今日はそれをさらに先に進めましょう。
私の大好きな「サイボーグ009」を世に送り出した石ノ森章太郎氏の作品で、
今のAI(人工知能)にも関係する本です。

【第3日目】
「人造人間キカイダー 全3巻」 石ノ森章太郎著、1985年 朝日ソノラマ刊

本来は秋田書店のサンデーコミック全6巻だったわけですが、それを3冊にまとめたものが私の家にはあります。子ども向け感の強いテレビ版とは異なり、ピノキオに始まり、ピノキオに終わる、かなり重苦しい作品です。

キカイダーことジローは、環境保護官をしていた息子を、公害をまき散らしていた企業の手先に殺された光明寺博士の手によって
「絶対に死なない環境保護管を作ってやる」
という想いで作り上げられます。ですが、ロボット三原則に則り、人間の命令には内容の善悪にかかわらず絶対服従してしまうため、
「悪い命令には服従しない(でも不完全な)良心回路」
を持つロボットとして作られます。最終的には悪事を考えつく回路まで組み込まれ、
「悪いことを考える回路と、不完全な良心回路の間で悩み続ける」
「本物の人間」のようなロボットになります。

「ピノキオは人間になりました メデタシメデタシ」
「だが ピノキオは人間になって ほんとうに幸せになれたのだろうか」

この台詞で締めくくられる物語は、今のAI(人工知能)の在り方、活用方法、
今後の開発などを考えるための一助となるでしょう。

ちなみに(確か)中学校の国語の教科書に渡辺一夫氏の「偽善の勧め」という
随筆が載っていました。性善説と性悪説について書かれていて、
「人間は本質的に悪である。なので世の中には悪人と、善人のように振る舞う
偽善者しかいない」
という話でした。だから、徹底的な偽善者となろうではないかという話でしたが、これもキカイダーに連なる考え方とも言えるでしょう。