「重力の再発見―アインシュタインの相対論を超えて」

ようやく読了です。

「重力の再発見―アインシュタインの相対論を超えて」
 ジョン・W・モファット著
水谷淳訳
早川書房刊

えっとですね、現状の宇宙論の抱える「ダークマター」や「ダークエネルギー」の問題を取り上げた本です。

基本的には、観測された宇宙の様子は、一部分はニュートンの万有引力の法則で、宇宙論的な部分はアインシュタインの一般相対性理論で大体は説明できるものの、残念ながら最近では

「ダークマター」
「ダークエネルギー」
「インフレーション理論」

と、いろんな「よくわからないもの」を付け加えないと成立しなくなってきているわけです。観測を説明するために、いろんな仮定を継ぎ足して何とかするという方法もあるわけですが、むしろ特殊相対性理論や一般相対性理論が登場したときのように、理論の大きな方針転換というか、新たな理論を構築したって良いわけです。

今回の著者はMOGという新重力理論を提唱している科学者です。本では、前半はこれまでの宇宙論の辿ってきた道を解説し、現在の問題点を整理しています。

そして後半の、しかも残り1/3くらいで、彼の提唱するダークマターの必要ないMOGや、別の重力理論であるMOND、そして既存のダークマター入りの現行理論とを比較し、それぞれの理論が正しい場合には、他の理論では現れない、こんな事が起こるはず、という予言を出しています。まさに、この「予言を出す」ことこそが、理論家がやるべき必須事項です。

疑似科学や似非科学と異なるのは、現行理論では起こらないが、自分の理論では起こることを予言し、それを観測によって証明することですからね。

ちょっとアーカイブを漁って、MOGを勉強してもいいかなぁ、と思いましたよ。