「南極点のピアピア動画」

本日読了。

「南極点のピアピア動画」
 野尻抱介著
 早川書房刊

4つの連作短編をまとめたものです。「ピアピア動画」「ボーカロイドの小隅レイ」を共通のキーワードとして書かれています。

1:南極点のピアピア動画
 月に衝突した彗星がまき散らした物質が地球周辺に作った降着円盤。地球の両極にジェットが形成されるという予測から、その流れに乗って宇宙を目指そうという話。そうですね、野尻氏の作品で言えば、「ロケットガールズ」に近いかな? 自己増殖型の自動工場というアイデアはこれまでなかったものですけど、面白い発想です。

2:コンビニエンスなピアピア動画
 コンビニで発見された新種の蜘蛛を使って、なんと軌道エレベーターを作ってしまおうというネタ。ノリは「ふわふわの泉」ですかね。しかし、カーボンナノチューブの糸を吐く蜘蛛とか、そういう「仮想ネタ」を入れつつも、UNISECとかそういう実在の団体が出てくるあたり、なかなか面白いものです。

3:歌う潜水艦とピアピア動画
 クジラとの意思疎通の話かと思いきや、なんとファーストコンタクトネタですか。面白い仕掛けを考えますなぁ。と感心の声しか出て来ませんわ。

4:星間文明とピアピア動画
 3作目の続編に位置付けられる書き下ろし。しかも1、2作目の登場人物やその成果なんかがオーバーラップしてきて、最後は大仕掛けで、ほんわかした終わり方(あくまでも個人の感想です)になっています。

 

この本、1~3作目まではそれぞれ独立した話になっていますので、それぞれのアイデアを楽しむ短編集として読む事も出来ますし、4作をまとめた連作短編として捉えることも出来るという、なかなかに面白い構造になっています。

 

ところで、「小隅レイ」はやっぱり「小隅黎」から来ているのかなぁ…

 

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