仕事の都合上、大急ぎで読んだのでコメントを。
「緊急提言!デジタル教科書が日本を滅ぼす」
田原総一朗著
ポプラ社刊
読破しましたが、これはひどい。大半は教育制度の変遷と問題点であって、肝心のデジタル教科書についてはほとんど触れられていません。これだけを読むと、デジタル教科書に根元的な問題点があるようにはとても思えないのですが。
し かも、その大半の部分には、教育の問題点を解消するのに現場が努力している例をいくつか挙げているのですが、そこでは
「教科書を教える」
という行為が問題の根底にあり、
「教科書も使って教える」
が重要 だと読み取れる主張をしているにも関わらず、最後の章では前の章との繋ぎはほとんど無視して、
「デジタル教科書があれば教師はいらなくなる」
とか、本質を理解しているとは到底思えない主張をぶち上げています。
たぶんですね、文部科学省や大多数の教員に任せっぱなしにするとダメなんだ、ちゃんと何をどう教えるのかをキチンと議論しないままデジタル教科書を導入なんぞしてしまうと、大変なことになるんだ、ということを言いたいんだろうなぁとは思うのですが、論理展開が甘い。
と いうか、書籍としては内容がバラバラで、章を追う毎に積み上がっていく議論があるのか、はたまたアクロバティックな三段論法でも出してくるのかと思ったのですが、そういうのもなし。これだと単に思い込みだけで書いたとしか思えないですよ。
デジタルに言及していない部分だけで出せば、それなりの本になったのになぁ。もしくは現状の問題点をもっと指摘した上で、この状態でデジタルを導入するとこういう危険性がある、こんな事態に陥りかねない、だからデジタル教科書を今すぐ導入ってのはダメなんだ、って書いて欲しかった。