変化の速いインターネットの世界。もうついていくだけでも大変なのですが、この本をとりあえず一冊手元に置いておけば、少なくとも2007年9月の現状だけは理解できるようになります。
「ネット未来地図」
佐々木俊尚著
文藝春秋刊(文春文庫)
本書ではインターネットとそれを取り巻く環境やサービスを20の論点から切って紹介しています。
もしあなたがIT系企業に勤めているならば、この本は誰かに何かを説明するときの手引き書として役に立つと思います。
もしあなたがIT系でなく、かつITにも詳しくないとするならば、ちょうど良い指南役になってくれるでしょう。
そしてもしあなたがIT系企業への就職を目指している学生や求職者ならば、とりあえず読みなさい。そうすればこの業界の現状についてかなりの部分を把握できるようになります。ただしあなたが4年生ならば就職する半年後には、次の潮流が生まれている可能性が大ですし、あなたが今就職活動を始めたばかりの3年生ならば、就職する1年半後には、この中の半分くらいが過去に存在した歴史となっている可能性があります。
ただし、IT業界では歴史を知っていることは大変重要です。何故ならこれまでの経緯を知っているからこそ、これからの行く末を洞察できるようになるからです。技術は移り変わっても、技術の進歩に付き従うようにサービスが進化しても、その流れ-潮流-を押さえることにより、次にどんな技術が生み出されれば、それがどのようなサービスに展開できるのかを見極められるからです。
とまぁ偉そうなことを書いてきましたが、この20の論点はなかなかに興味深いものがあります。例えば新たなサービスを考えたりする際に、これらの論点のウチの幾つかには当然のことながら関連してくるわけで、例えば私も
「企業や学校など、ある特定分野に向けたSNSはどうあるべきか?」
という命題を考える上では、何が必要なのかというのを要素に一度分解し、それぞれの要素毎に20の論点から整理し直し、しかる後にSNS機能として再構築していくことが出来るようになります。一度論点整理をすることによって、つまりフィルタをかけることによって、泥縄式の設計ではなく、精選し洗練されたソフトウェアを構築できるはずだと思っているわけです。もちろん上手くいくという保証はありませんが。
というわけで、IT業界に興味関心のあるあなた!是非ご一読を。