「高学歴ワーキングプア」

もし私が「大学教員」にこだわっていたなら、なっていたかもしれない道です。

「高学歴ワーキングプア 『フリーター生産工場』としての大学院」
 水月昭道著
 光文社刊

私の2年後輩あたりからでしょうか。「大学院重点化」というのが始まり、定員が2倍に増えたのです。つまり大学院に入りやすくなったのですが、折からの就職超氷河期のために、大学院へ進学した人も多かったのです。
しかし問題はそこではありません。大学院を修了しても、大学教員になれる可能性が半分になったということを、これは意味していました。だって、ポストは増えないんですから。逆に減ってさえいますね。

この本でも指摘されていますが、入り口は倍になったのに出口は同じか、下手をすれば減っているわけですから、大学院修了者の半数は無職となります。つまり就職率は50%なのです。

ではそういう人たちがどうなっているかと言えば、コンビニでバイトしたり、パチプロになっていたり・・・いわゆるフリーターやワーキングプアになっているわけです。

実は私の知り合いや後輩も同様の状態になっている人がたくさんいます。
「彼は就職できたのかなぁ?」
が久しぶりに会う友人との合い言葉になっていたりします。いい加減30代後半から40代になってるわけですがね、みんな。

本の中身としてはちょっと納得していない、同意できない部分もないことはないのですが、国の政策として
「欧米に比べて研究開発部門が弱いから、大学院人口を増やして、もっと人材を育成しよう!」
という建前で始めたはずなのに、人材を登用する場所がないんだから大失敗の政策だ!というあたりなんかはまさにその通りだと思いますし、役人や大学当局はそう言われても仕方ないですよね。私みたいにとっとと見切りをつけた人間だけは就職できて、今もまぁ、仕事があって収入もそれなりにあるわけですが。

ちなみに・・・

一度自分のいた世界(天文学&天文教育)に見切りをつけた強みか、転職が全く怖くなくなりました(爆)。
天文台をやめた後こそプラネタリウム番組の制作会社などに籍を置きましたが、そこでコンテンツを制作していく上で、
「これからのコンテンツはシステムで制御できなければ意味がない!だからシステムの制作を身につけよう」
と転職。
基本的には3年で何かを成し遂げること、としているので、さくっと3年でやめて今の会社に転職しました。3年で1目標。ホントは2年にしたいくらい。これまでの平均転職間隔がきっちり3年(苦笑)。

さて、その今の会社も年が明ければ3年。振り返ってみると、入社時に立てた目標は70%くらいの達成率ですか・・・30%をあと5ヶ月ほどではクリアできそうにないなぁ・・・

いずれにせよ、その反省はきっちりと行うこととして、次の3年に何をするのか、その目標を立てる時期になりました。次の3年は、残る30%を含むような形で1ステップも2ステップも上を目指さなければ、と思っています。仕事は大変だけど面白いので、会社を辞めるつもりは全くありませんが、自分で何かをやってみたい気持ちは強くなりつつあります。

さぁ、次は何を目指そうか?