言っておきますが、私はいわゆる「鉄っちゃん」ではありません。しかしどんな方面であれ、技術、そしてその技術が社会に与えるインパクトには大変興味があります。そういう観点からすると大変面白い本です。
「新幹線がなかったら」
山之内秀一郎著
朝日新聞社刊
1998年に出版され、2004年に文庫化されていました。今回、東京出張の折に買っていたのですが、ようやく読み終わりました。
著者は旧国鉄の常務理事、JR東日本副社長、そして会長を歴任した後、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の前理事長を勤め上げた方で、技術屋の心がわかるスゴイ方です。
氏が旧国鉄に入社し、そして経験した苦労話をはじめ、新幹線計画を俯瞰した話、そして新幹線がその後の日本や世界の鉄道業界に与えた影響などを紹介しています。
「新幹線がなかったら・・・日本の鉄道は衰退し、消滅していたかもしれない。世界の鉄道も消滅していたかもしれない」
そんな話を現場から経験した人の言葉で語られると、なかなかに感慨深いものがあります。