昨日、新幹線の中で読み終わった本です。
「小指の先の天使」
神林長平著
早川書房刊
氏の有名な「火星三部作」に通じる短編集です。発表年代が1981年から2003年までと20年以上にも渡っているにもかかわらず、全く違和感なしに全編を通して同じテイストなのは驚きです。裏表紙にもあるように、ホントに神林節の原点にして到達点ですね。
集録された作品達の中では、個人的には「なんと清浄な街」と「父の樹」が気に入りました。特に「なんと清浄な街」は、
「観測する者がいるから宇宙はこのような形で存在しているように見える」
という人間原理にも通じますし、コンピューターによって演算され、再現された世界というのは、グレッグ・イーガンの「順列都市」にも通じるネタとして、なかなか面白いものがあります。
氏の作品はちょっと取っつきにくい人も多いかも知れませんが、
「戦闘妖精雪風」
「敵は海賊」
のようにアニメ化された作品もあります。その辺から入れば良いかもしれません。私のお薦めは
「あなたの魂に安らぎあれ」
「完璧な涙」
「時間蝕」
あたりだったりしますが・・・
そうそう、「ラーゼフォン」の小説版も書いてますね。